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最終更新日:2024年10月1日

中国語のマンダリンの特徴・由来を解説│北京語・広東語・日本語との違いを比較

翻訳情報

中国語

中国大陸では北京語・広東語・上海語など、各地域特有の方言がありますが、日本やアメリカなど、中国語を母国語としていない人が中国語を習得する際には、中国の標準語を勉強するのが一般的です。

そこで、この記事では中国語の標準語であるマンダリンの特徴やその由来について詳しく解説します。中国語ではもっとも標準語に近い北京語や広東語、さらには日本語とも比較して、各言語の特徴の違いについてお伝えします。

中国語に興味をお持ちの方、これから本格的に学びたい方、中国語翻訳の発注先をお探しの方もぜひ参考にしてみて下さい。

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目次

中国語のマンダリンの特徴について

中華人民共和国の国土面積は約9,597k㎡、日本の国土面積の約25倍にも相当する広さです。2022年時点における中華人民共和国の人口は約14億人、中国大陸には50以上もの多彩な民族が存在していて、各地域ではさまざまな方言があります。その中で、中国語の標準語であるマンダリンの特徴について詳しく解説します。

中国語のマンダリンとは何か

中国語のマンダリンとは英語で「Mandarin」と表記し、中国語で標準語を指します。中国語の標準語であるマンダリンは「普通話」とも呼ばれており、中国語を母国語とする人々の共通語となっています。

国土面積の広い中国本土では、方言の種類を大きく分けると、北京語・上海後・広東語・南昌語・長沙語など、7種類に区分されています。中国の首都が北京であることから「北京語は中国の標準語」といった認識をする人も多いようです。他の地域の方言と比較すると、北京語はもっとも標準語に近いですが、厳密には北京語は標準語ではありません。

同じ国内でも各地域で方言や独特の言い回しがあるため、異なる地域の人同士で会話をする時にも、言葉が通じにくいケースがあることも稀ではありません。そのため、中国の田舎や都市部では、多くの人が標準語であるマンダリンと方言を適宜使い分けて会話をしています。マンダリンの中国語を習得しておくことで、異なる地域の人々とのコミュニケーションもよりスムーズになります。

わたしたち日本人や海外の人が中国語を学ぶ際には、マンダリンの中国語を勉強するのが一般的です。NHKの中国語講座や、大学・語学教室で学ぶのはマンダリンの中国語です。

中国語のマンダリンの使用人口は?

中国語の標準語であるマンダリンを母国語としているのは、中国本土全体の人口のうち、7割以上の人々です。中国語のマンダリンは中国本土だけではなく、香港・マカオ・台湾でも使われています。その国や地域の使用人口も合わせると、約8.9億人もの人々がマンダリンを母国語としています。

中国語のマンダリンの語源・歴史・由来

中国語のマンダリンのルーツは、17世紀の清王朝の時代にまで遡ります。中国の華南の地域を訪れたキリスト教の宣教師が、官僚と会話のやりとりをする中で地域によって言葉の違いがあることに気づきました。

この時代には国の役人である官吏が日常的に使う共通の言葉がありましたが、地域の方言とはまったく異なるため、これと区別することから「マンダリン」と呼ばれるようになりました。

中国語のマンダリンで使用する文字

中国語を表す文字は簡体字と繁体字の2種類が存在しており、中国語を母国語とする国や地域によって使う文字の種類にはそれぞれ違いがあります。

中国大陸本土ではほとんどの地域で簡体字が使われていますが、広東省などの一部のエリアでは繁体字が使用されています。中国大陸本土以外の国や地域では、マレーシアやシンガポールでは簡体字が使われていますが、香港・マカオ・台湾では繁体字が使用されています。

中国語のマンダリンの文法

中国語のマンダリンの文法は、日本語・英語・韓国語とも異なる特徴があります。日本語・英語・韓国語では現在・未来・過去など時間の経過によって、動詞や形容詞が変化しますが、中国語では時系列による動詞や形容詞の変化はありません。

具体的な事例を挙げると、中国語では「(特定の場所に存在して) いる」「いた」という意味の言葉を「在」の漢字1文字で表します。時系列によって動詞や形容詞が変化しない代わりに、「在」の前には「今」を表す「现在」 、「昨日」の意味を持つ「作天」をつけて表現します。

【日本語】私は今 家にいます。/ 私は昨日 家にいました。
【マンダリンの中国語】我 现在 在 家里。 / 我 昨天 在 家里。

1つ補足しておくと、中国語のマンダリンで「(存在して) いない」という意味を表す場合は、「不在」となります。

中国語のマンダリンと北京語・広東語の違いを比較

比較

ここでは中国語のマンダリンと、中国の方言で代表的な北京語・広東語との特徴の違いについて見ていきます。

マンダリンと広東語の違い

中国語のマンダリンは中国大陸本土における標準語として位置づけられています。

一方、広東語は主に広東省・香港・マカオなどの国や地域では日常的に使われている方言であり、その地域に住んでいる人々の母国語となっています。広東語のことを英語でカントニーズ (Cantonese) と呼びます。

マンダリンと北京語はどう違う?

中国語のマンダリンと北京語は同じ言語ではありません。中国語のマンダリンは標準語ですが、北京語は方言の一種と位置づけられており、国内で他の方言と比較するともっとも標準語に近い言語とされています。

テレビやラジオのニュース番組や新聞などのメディア、外国人向けの語学テキスト、公的な文書には北京語ではなく、中国の標準語であるマンダリンが使われています。

文法・発音の違い

中国語のマンダリンと北京語の発音はほぼ同じですが、広東語とは異なる点が多いです。 具体的な事例を1つ挙げると、「私は日本人です。」という意味の言葉を表す漢字と発音は以下の通りです。

【中国語のマンダリン・北京語】我是日本人。(ウォ シー リーベンレン。)
【広東語】我係日本人。 (ンゴー ハイ ヤット プーン ヤン。)

中国語のマンダリンと北京語の声調は基本的に4種類ですが、広東語は9種類もあります。そのため、イントネーションや強弱のつけ方にもそれぞれ違いがあります。

広東語で「我係~」とは、「私は~です」という意味を表す文法です。中国語のマンダリンと北京語では「係」の漢字を使わない代わりに「是」を使い、「我是~」の文法を使います。

マンダリンの中国語と日本語の違いを比較

次に、マンダリンの中国語と日本語を比較すると、具体的にどのような違いがあるのか深堀りしていきます。文章の基本的な構造や文法、助詞の使い方や漢字の意味など、多彩な観点からそれぞれの言語の違いについて解説します。

文章・文法の基本的な構造の違い

マンダリンの中国語と日本語の根本的な違いは、文章の基本的な構造や文法です。日本語の文章では文頭に主語・文中に目的語、文章の末尾に述語の順番になるのが一般的です。

一方、中国語では文頭に主語、文中には述語、文章の末尾に目的語といった並び順になります。中国語の語順は英語の語順ともよく似ています。

「私は本を読みます。」

マンダリンの中国語と日本語の文章の構造や文法について、具体的な事例を3つ挙げておきます。

「私は本を読みます。」という文章をマンダリンの中国語では「我看书。」と表記します。日本語と中国語の文章の構造は以下の通りです。

【日本語】私は (述語) 本を (目的語) 読みます。 (述語)

【マンダリンの中国語】我(主語)看(「読む」を意味する動詞・述語)+书(「本」という意味の名詞・目的語)。

「今日 私は東京に行きます」

「今日 私は東京に行きます。」という文章をマンダリンの中国語では漢字で「今天、去东京。」と表記します。

【日本語】今日 私は (主語) 東京に (目的語) 行きます。 (述語)

【マンダリンの中国語】今天、我 (主語)去 (述語) 东京。(目的語)

中国語で「今天」とは「今日」、「我」は自分のことを表す言葉、「东京」とは「東京」です。文中の「去」とは「行く」という意味を持つ動詞です。

「私はあなたを愛しています。」

「私はあなたを愛しています。」という意味の文章表現について、日本語・中国語・英語の表現を比較してみましょう。中国語では「我爱你。」、英語では「I love you.」と言います。

【日本語】私は (主語) あなたを (目的語) 愛しています。 (述語)
【マンダリンの中国語】我 (主語) 爱 (述語) 你。(目的語)
【英語】I (主語) love (目的語) you. (述語)

主語・目的語・述語といったシンプルな文章構造の場合は、中国語と英語では文章の基本的な構造は同じです。中国語の漢字で「你」とは「あなた」を意味する言葉です。

ちなみに、中国語の「我爱你。」は男女の間だけではなく、同性の友人に対しても「会いたい」といった感じの親しみを込めて、日常的によく使われている言葉です。アメリカやイギリスなど英語圏の国々では「I love you.」という言葉をよく使います。

一方、日本人は奥ゆかしいのか感情表見が乏しいのか、「私はあなたを愛しています。」という言葉が使われるシーンは、残念ながら少ないようです。

助詞の使い方の違い

マンダリンの中国語と日本語では、助詞の使い方にもそれぞれ違いがあります。

日本語の文章には「(私) は」「(誰) が」「(何) を」「(どこ) へ」など、主語や目的語にはさまざまな助詞がつきます。助詞とは名詞などの言葉の後につく短い言葉で、言葉と言葉を繋ぐことで微妙なニュアンスを持たせる役割を果たしています。

助詞とは名詞などさまざまな言葉の後につく短い言葉で、言葉と言葉を繋ぐことで微妙なニュアンスを持たせる役割を果たしています。日本語の助詞では上記の他にも「 (資格・立場) ~として」といった複合助詞や、格助詞の「(場所・手段) ~にて」などがあります。

一方、マンダリンの中国語では助詞にあたる言葉や漢字は極めて少ないです。先ほどの文章を一例として挙げると「我爱你。」「我看书。」のように、助詞はまったく使われていません。

中国語の代表的な助詞「的」の使い方

中国語では日本語のように「(私) は」「(誰) が」「(何) を」といった助詞はありませんが、中国語特有の助詞の表現がいくつかあります。その中でもっとも代表的な助詞「的」の使い方についてご説明しましょう。

中国語の助詞で「的」は文法上では構造助詞に区分され、「~の」という意味になります。体言を修飾する役割をしていて、文法上の構造では「名詞 (人称代名詞) + 的 (~の) + 名詞」の語順となります。

「的」の使い方で具体的な事例を挙げると、日本語で「アメリカのレストラン」は「美国的餐厅」「私の本」は中国語で「我的书」と表記します。この他には「得」「地」の漢字が中国語の助詞として使われています。

句読点の使い方の違い

マンダリンの中国語と日本語では、文章中の句読点の使い方にも違いがあります。日本語では文章の末尾に「。」 (句点)、文章中には文節の区切りを示す「、」 (読点) が使われています。

一方、中国語では文中に「;」 (分号・セミコロン) や「:」 (冒号・コロン) が使われることも多いです。疑問文を表す場合は文章の末尾に「?」 (クエスチョンマーク) が必ずつきます。

漢字の意味の違い

マンダリンの中国語と日本語では同じ漢字が使われていても、意味がまったく異なるものも多いです。そこで、日本語と中国語の漢字の意味の違いについて一覧表にして比較してみました。

漢字 / 言語 日本語の意味 マンダリン中国語の意味
勉強 学ぶ・学習する・勉学に励むこと 強制する・無理強いする
※中国語で「勉強」を意味する漢字は「学习」
清楚 飾り気がなくて清らかな様子 (輪郭・目標・方向・思想などが) はっきりした (形容詞)
手紙 はがきや封書などの文 (ふみ) ・書簡・文書 トイレットペーパー
※中国語で「手紙」を意味する漢字は「信」(一般的な手紙)・「信件」 (公式的な郵便物)
老婆 高齢の女性・おばあさん
※北宋時代に「妻」を表す言葉として「老婆」と表現した詩があったことに由来
高校 高等学校 (高校) 大学 ※中国語で「高校」を表す言葉は「高中 (高級中学)」
階段 建物の中を上り下りする階段 物事が進行する過程・プロセス
※中国語で「階段」は「台階」
愛人 配偶者以外で恋愛関係にある人
不倫の相手
配偶者・妻・夫
先生 学校の教師・塾や習い事の講師・師匠
医師など学識があり指導する立場である人
男性に対しての敬称として使う言葉・公式的な呼び方 ※中国語で「先生」を表す漢字は「老师」
丈夫 しっかりしていて壊れにくい
頑丈であること
配偶者となる男性・夫
迷惑 他人の行為や言動によって不快を感じること
不利益を被ること
わけがわからず戸惑う
※中国語で「迷惑」を表す漢字は「困擾」「麻煩」

中国語のマンダリンに関するよくある質問(FAQ)

質問

マンダリンの中国語では漢字の音読み・訓読みはある?

日本語では漢字の音読み・訓読みがあり、文章の流れや単語のもたらす意味によって漢字の読み方が変わってきます。一方、マンダリンの中国語に関しては、基本的に音読み・訓読みといった区分はなく、漢字の読み方は1つのみ (一字一音) です。

ただし、例外的なケースとして1つの漢字に対して、2つ以上の複数の読み方をする多音字が100字以上も存在します。

マンダリンの中国語の発音は全部で何種類?

マンダリンの中国語の母音は36種類、子音は21種類あります。さらに、母音と子音の組み合わせから作られた音節も合わせると、発音の種類は400以上もあります。

マンダリンの中国語の読み書きは難しい?

日本語の発音は「あ」から「ん」まで5つの母音と複数の子音を合わせても、わずか51種類です。わたしたち日本人の視点から見れば、中国語は発音数が多く、独特のイントネーション (声の上がり下がりの調子や抑揚) があります。

漢字の綴りや読み方、句読点の使い方も日本語とは違いがあるため、慣れるまでには時間がかかるでしょう。

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中国語のマンダリンの特徴・由来を解説│北京語・広東語・日本語との違いを比較 まとめ

この記事では中国語のマンダリンの特徴について解説しました。北京語・広東語・日本語との違いにも着目して、漢字の意味や文法の違いなど、多彩な観点から比較してみました。

中国には古来より深く親しまれてきた諺 (ことわざ) や慣用句もいくつかあります。その中のひとつとして、「虎に翼」についてご紹介しましょう。NHKの朝の連続テレビ小説のタイトルでもありますが、中国戦国時代に法家 (ほうか・法治主義を説く諸子百家の一派) によって記された思想書の「韓非子」 (かんびし) 、この書物の中で使われた「爲虎傅翼」(いこふよく) という言葉に由来しています。

「虎のようにもともと強い力のある人が翼を持つことで、よりいっそう強力なパワーが得られ、さらに勢いを増す」という意味を表します。この他にも中国には含蓄のある諺や慣用句がたくさんあります。

中国語は漢字が使われていることもあり、わたしたち日本人には身近な海外言語です。これから中国語を勉強したい方は、標準語であるマンダリンを本格的に学ぶと良いでしょう。

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